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御家人 美馬清史郎 小普請組裏夫役⑥

#9  廃寺

小塚原付近

夜。引き画。荒れ地と雑木林が点在。建物はほぼない。
雑木林にある廃寺。境内は狭く周りは木々に囲まれている。

寺を見るように清史郎達4人。清史郎以外は黒装束。頭巾はない。
手合図で甲子郎と伝兵衛が離れる。
甲子郎たちが裏口を見つけ開ける。
ト書きとして左門のセリフが被る。

(探索方の話では裏に狭い退き口があります。
そこさえ押さえてしまえば、後は正面から出るしかありません。
くれぐれも討ち洩らしのないように…)
    

中では、千両箱が積まれ、居木井たちが酒を飲み
他方では手首を縛りあげた女を犯している男たちもいる。


「堪忍してッ」

「まだまだ後がつかえてるからな、ほらもっと絞めやがぶぇっ」

「!?」
    
突如血を吐いて倒れる男。後ろには脇差を2本。
両手に逆手で持った黒装束姿に面頬をつけた甲子郎が立っている。
女の縄を切りながら退き口を差し

甲子郎
「そっちから急いで逃げちゃいな」
    
一味の男たちがそれに気づき、いきり立つ

男たち
「なんだっ貴様ッ」「何者だッ」「殺せッ」
などの怒号が飛ぶ。
甲子郎
「偉そうに侍っぽい言葉使ってんじゃないよ」
    
2人の男が刀を持って斬り掛かる。
甲子郎、片手で1人の太刀を受けひらりと
跳びあがり、もう1人の男の肩に乗り、
片手の脇差をその男の口に突き刺す。
ぴょんと床に跳び下り

甲子郎
「これであと一人」
    
一方、退き口では女が出ていく。
別の男たちが


「おい女が逃げるぞ」「女を逃がすなッ」
    
男の1人が退き口に入ろうとする。


「ぐわわッ」
    
入った男が飛ばされて戻ってくる。
その顔は潰れている。
    
ヌッと伝兵衛が出てくる。
その手には鉄製の杖(じょう)が握られている。
軽々と振り回し襲ってきた男の頭を叩き潰す。
    
境内。

寺の中が騒がしいのがわかる。
戸の前には机之介と清史郎が立っている。

机之介
「そろそろ来るぜ」
清史郎
「ハイッ」

同時に戸が開き男たちが出てくる。
男たちが机之介たちに気づいた刹那
机之介が一歩踏み込み、刀を抜いて斬り伏せる。

男たち
「こっちにもいやがるぞ」「囲めッ 囲めッ」
    
いっせいに斬り掛かる男たち。
清史郎、斬り掛かった男の刀をかわし
喉元を一閃。倒れる男。
人を斬った感触に自分の手を見て呆然としている清史郎。
後ろから別の男が斬り掛かる。机之介が気づく

机之介
「チッ」

机之介が刀を受けながら

机之介
「ぼけっととしてんじゃねえぞ! それとも死に損になりてえのかッ」
清史郎
「(ハッとして振り返り)スイマセンッ」
    
さらに振り向いた清史郎の後ろから別の男が斬り掛かる。


「うおおおおッ」
    
その男を机之介が、机之介と鍔競り合いしていた
男を清史郎が交差するように斬り伏せる。
崩れる男たち。
机之介がチラと清史郎を見て微笑を浮かべる。

お堂の中央辺りに居木井と手下2名が追い詰められる。

居木井
「貴様らッ何者だッ? 幕府の犬かッ?」
机之介
「まあな。犬は犬でも野良犬ってとこだけどな」
居木井
「殺せッ 殺せッ」
    
部下たちを押し出す。

男たち
「う、うわあああ」
    
腰が引けながら襲う男たち。
机之介と甲子郎にあっさりと斬り伏せられる。
清史郎が一歩、居木井へと近づく。

清史郎
「宗助…伊勢屋の少年をなぶり殺したのは貴様か?」
居木井
「あのガキの知り合いか? それがどうしたッ? 
そんな事、我らが幕府から味わった憂き目に
比べれば大したことではないわッ!」

居木井、叫ぶと同時に片手で刀を抜き
片手で懐から8連フリントロック式の短銃を取り出し構える。

居木井
「動くなよ」

じりじりと離れる居木井。
はたと思い出したように

居木井
「ん~ッ もしやお主がセイシロウか?」
    
ピクッとする清史郎。

居木井
「やっぱりそうかっ、あのガキ死ぬまで
「セイシロウサンゴメン」ってつぶやいておったぞ」

甲子郎が腹立たし気に出ようとする。
それを制する伝兵衛。

居木井
「もっとも最後の方は喉がヒューヒュー鳴ってよく聞こえなかったがな。ハハハッ」
清史郎
「……黙れ」
    
瀬史郎、平然と居木井の方を向く。

居木井
「動くなといったろうがッ」
    
同時に居木井が引き金を引く。
ガーンッと銃声が響く。
が、清史郎はすでに居木井の横まで詰めている。
同時に居木井の左手を斬り落とす。

居木井
「うぎゃあーっ! こ、このーっ」
    
右手の刀で斬り掛かる居木井。
しかしそれよりも速く逆袈裟に斬り上げる。
胸から喉までを斬られ倒れる居木井。
絶命した居木井を見下ろす清史郎。
刀をふり挙げ、死体へと振り下ろす。
ゴスッ
刃が居木井のこめかみを割り、目玉のへと突き刺さる。
血がドロリと垂れる。
当然、居木井はピクリともしない。
再び刀を振りあげる。
ザクシャッ、ザクシャッ
斬るというより叩きつけるように
力任せに2度斬りつける。
その表情は泣き出しそうになっている。
机之介、甲子郎、伝兵衛たちは
止めるわけではなくただ黙って見ている。
清史郎が再び手をふり挙げる。
が一番上で止まり、力なく刀をさげる。
やるせない顔で清史郎を見る3人。

机之介
「そろそろ行くぜ」
清史郎
「…………」

#10  寛永寺

一月後  上野 寛永寺

清史郎が鋤(すき)を使い土を掘り進んでいる。
かたわらには土と土嚢が積まれている。
たすき姿で作業に励む清史郎。
やはり作業をしながらそれを見ている甲子郎

甲子郎
「清ちゃん、ちょっと頑張り過ぎなんじゃない?」
清史郎
「そんなことないですよ。伝兵衛さんなんてホラ」
    
横に山のように土を盛って黙々と掘り進む伝兵衛。

清史郎
「机之(きの)介(すけ)さんもサボってちゃダメですよ」

木にもたれて座り独り丁半をしてさぼっている机之介。

机之介
「土掘りなんざ黒鍬(くろくわ)の連中にまかせときゃいんだよ」
清史郎
「そんなこと言って、今日は絶対手伝いませんからね」
机之介
「それじゃあどっちがやるかコイツで賭けようぜ」
清史郎
「イヤですよ。どうせイカサマじゃないですか」
机之介
「なんだとテメェ」

(無役の御家人の事を小普請といった。その数は二千とも三千とも伝えられている。
その者たちをまとめ、城や寺の修繕など小普請を手伝わせる組織を小普請組という。
しかし小普請組に闇の小普請があったことはどの史書にも伝えられてはいない)


                                 END



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あまみわつき

漫画原作というかシナリオというか・・・
とりあえずそんな感じのものをアップして
いきます。読んでやってください。
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